代表突撃インタビュー(2018.1.11 創業して、ええの?)

特別職と代表取締役。二足のわらじを履く奥村拓道は、何を考えているのか。

プロローグ

原爆ドーム………

それは紛れもなく今の広島を象徴するシンボルの一つであり、世界から平和の願いが集まる場所でもある。

その隣に2016年夏にオープンしたのがおりづるタワー。彼はその開業プロジェクトに初期から開業まで携わった唯一のメンバーであり、2013年からは開設準備責任者を務めていたはずだ。

その彼が、なぜ、突如、廿日市市に現れたのか。そして、廿日市市の特別職という公職に就く一方で、SPYリレーションズ株式会社を起こしたのはなぜか。

その理由を探るべく、突撃インタビューを敢行した。=SPYリレーションズ特捜班

突撃

特捜班(特捜) - 奧村さん、ですよね?

記者から不意の声がけに、ビクッとする。小心者を隠せない、それが奧村。

奧村 - …

特捜 - 奧村さん。 お久しぶりです。 にしても、相変わらずですね、その頭のデカさ、プッ。

奧村 - ……

イラッとするも、ビクッとの後なので、顔が不自然。演技下手クソ、それが奧村。

特捜 - 今日はですね、あなたの話を聞きに来たんです。 しゃべってもらうまで追いかけますから。 もういいかげん、逃げるのやめたらどうですかっ!

奧村 - ………

え?追いかけられてたの………って、ビクッとしたあと、イラッとさせられ、今度はドキッとまでさせられ、どうしたもんか分からなくなり、奧村は、とりあえず、そこにあった椅子に腰かけた。

特捜 - 奧村さん、我々が聞きたいこと、分かってますよね。

特捜班は、無言の奧村に対し、いきなり渾身のストレートを投げつけた。

奧村 - ゴルゴ13歳のことか?

特捜 - 違いますっ! そ、そ、それはあなたが特別職のFBでぶちかましてるネタでしょう。

奧村 - お、お、俺のネタまで………

お、お、奧村を知り尽くしてる………お、お、恐るべし特捜班………自分のネタを拾って投げ返してくれる相手には、つい、心を開いちまう。それが奧村だ。

特捜 - ネタの話はまた今度。 なんで、おりづるタワー、辞めてしまったんですか。

反撃

奧村 - これを読んでくれ。

しばしの沈黙の後、奧村は新聞記事を取り出し、パサ~ッと机の上に放り投げた。やけに準備がいい、そして乱雑、それが奧村だ。

特捜 - 土佐犬が捕獲されて安心したのか、白シャツのオッサンがニタッとして、こりゃ、微笑ましいですな。

いや、そっちの写真はエエから、と、言いたかったが、この特捜はいらんこと言わずに本題には入れんヤツ。そう見透かす、それが奧村だ。

奧村 - 記事にあることが全てだ。 ご苦労さん。

それでも特捜は食い下がった。土佐犬なみのしつこさだ。

特捜 - とは言っても、もう、働けるようになったんでしょ。 なんで元の職場に戻らないんですか。

ふふふっ。奧村の表情からは、そう聞こえるような変化が感じ取れた。顔で語ろうとする、それが奧村だ。

奧村 - 帰属せず、専任にならず。俺の師匠は、ゴルゴ13だからな。

奧村はそう言うと、吸いもせんくせに、なぜか、Zippoのオイルライターをカキィーンと言わせ、顔で語ろうとし始めた。顔で語らずにはいられない、それが奧村だ。

特捜 - まあ、いいです。 それは………

特捜は、「あんたのこと、調べは付いてるんだぜ」と言いそうになって飲み込んだ。実は、彼には戻るところなど、無いのだ。身寄りなし、それが奧村だ。

特捜 - で、奧村さん。 どうするんですか、特別職と代表取締役。二足もわらじ、履いちゃって。

また、奧村が顔で語ろうとしてる………

奧村 - お前さんが履いてるわらじ、確かに一足だが、それには、右用と左用があるだろ。 片方しかないと、バランス悪いし、足元が気になって前を向けないだろう。 俺は、わらじだけじゃなく、仕事にも、右用と左用が要る、こう思ってるんだ。 両方が揃って、初めて前に向いて進めるんだ。

奧村から放たれたのは、まさかの「わらじ返し」………特捜は驚いていた。

奧村 - ほら、経営者もそうだろう。 会社では代表取締役を務め、それ以外に商工会議所やライオンズクラブの役員をしたりするだろぅ。 その両方があってバランスが取れる。 先人は皆そうやって生きてきたんだ。 俺も、そういう生き方が許される世界で生きたいだけさ、それがゴルゴの教えだ。 だから、君が言っている二足は、俺にとっては一足の左右なんだ。

驚き続ける特捜を尻目に、奧村は去っていった…奧村は三足目のわらじも用意するに違いない、そう思うと、特捜は奧村から目が離せない、と思うのであった。

つづく